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8~6時間

8.6時間

彼女は以前の事故で、右足が曲がらなくなりました。
見た目はその傷が一番悲惨だったですけれど、普段見えない部分でもっと大きな怪我をしており、レントゲン写真を撮ると、彼女の骨盤の真ん中には小さなネジがついています。

しかし普通に生活する分には支障もなく、わたしよりも環境への適応能力は上ではないかと思われるほど。

しかし。

出産となると話は別になるようで、主治医の先生からは『赤ちゃんの数が多ければまだ良いのですが、3匹だと微妙なところ』だというお話をされました。

どういうことかというと、『入っている赤ちゃんの数が多ければ、一個体辺りの頭の大きさがそんなに大きくならなくてもすむかもしれない』わけで、『そうすれば、骨盤の開きが小さくても自力での出産ができるかもしれない』という、『かもしれない』話です。

で、三匹であるこの現状は100%手放しで喜べる状態ではないということで、その場合どうすればよいのか、どのような出産になるのか…丁寧に説明してくださった…筈なのですけれど、覚えていません。

くどいようですが、わたしは外科的話に非常に弱いのです。

とりあえず『何かあったら病院へ』ということだけ肝に銘じて(あぁ、頼りなくてゴメン)、わたしは彼女を日々見つめてゆきました。

そうしてどれくらいの日数が過ぎたでしょうか、いつものように『オハヨー』と見たら、お尻の辺りから黒いような風船のような…そんな感じの『なにやら』が見えております。
これは出産ダ、とわたしでも分かりました。

とうとう産まれるぞー、わーい。

初めてのネコの出産に立ち会える喜びに、ドキドキやらワクワクやらで、その時は先生が仰った危険性のことなど、わたしの頭からはすっ飛んでいました。

そして、その『なにやら』が見えたまま、彼女はジッと動かないまま、1時間経ち、2時間経ち、昼を過ぎた時、わたしはやっと気付いたのです。
『何かあったら病院へ』の『何か』が、あってるんじゃないだろうか。
それはまさに『今』なのではないか?

そこに気付いた途端、それまでのドキドキが一瞬にして別なドキドキに変わってしまった。

すぐさま、病院へ。
と言っても車で1時間かかる。
その時は既に、グッタリとしか見えない彼女を乗せ、先生の元へひた走りました。

病院に駆け込み、診察を受け、すぐさま帝王切開。

もう少し遅かったら、きっと悔やんでも悔やみきれなかったことでしょう。
かくて、3匹の新しい命が誕生しました。7月1日。
何とか無事に。
彼女も何とか無事に。よくがんばったね。ごめんね、つれみ。
朝、あの姿にわたしが気付いてから、6時間が経っていました。

ついでに避妊手術もしてもらい、彼女の別名はこの日から『はちまんネコ』に変わります。

つれみのこども。2匹は真っ白。
もう1匹は真っ白に耳のフチがちょっぴりグレーっぽい。

掌にチョンと乗る大きさ。かわいいですね。
ほんとにちいさくて、守ってあげたくなる姿ですね。

4匹を乗せた車は、帰りはヨイヨイと走り去ってゆくのでした。。。



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